小川に架かる橋の上。目の前を、黄色っぽい葉がくるくる回りながら通り過ぎ、足元に落ちた。橋を覆うように生い茂る木々の1本から落ちてきたようだ。枯葉の季節だ。
そういえば、寺島靖国さんのジャズ講座は、10月期の第1回が「枯葉」特集だった。ピム・ヤコブス・トリオは、多くの受講者が好感したし、ナナ・ムスクーリのヴォーカルからは、寺島さんの解説どおり、この滋味深い曲の本質が垣間見えるようだった。でも、マイルス・デイヴィスとキャノンボール・アダレイの枯葉が一番だ。近づく冬の風の冷たさまで感じさせる抒情的なマイルスのトランペット、舞い落ちる枯葉の終焉を優しく見守るかのような温もりをたたえるキャノンボールのサックス。
そんな季節の寂しさを象徴するかのように、プロ野球の大輪が消える。44年ぶりの日本一に輝いた日本ハムを笑顔と派手なパフォーマンスで引っ張ってきた新庄剛選手。札幌ドームを満員にし、前評判の高くなかったチームをプロ野球界の頂点に導いた。もちろん、ダルビッシュ選手や八木選手という若手投手陣や森本選手、小笠原選手、セギノ―ル選手、稲葉選手といった攻撃陣の活躍があったればこその日本シリーズ優勝であることは間違いない。それでも、新庄選手の姿は抜きん出て目立った。春の引退宣言からプレーオフ、日本シリーズ。これら1試合1試合が、プロ野球選手・新庄の見納めとばかりに、ファンは彼の一挙手一投足に目を凝らした。目指すは日本一と、彼が言っても、多くの人はその実現を信じてはいなかったのではないか。
日本シリーズの優勝会見で、新庄選手自らが言っていた。「マンガみたいだよね」と。筋書きのないドラマといわれるスポーツだが、今年のプロ野球に限って言えば、マンガのような筋書きがあった。
歓楽極まりて哀情多し……枯葉の季節だ。(S)