三都主からゴール左にクロスボールが入った瞬間、玉田がブラジルのディフェンス陣を置き去りにしてゴール前に走りこんだ。日本人の願いを乗せたボールが、玉田得意の左足にヒット。キーパーの両手の上を抜けたボールは、ブラジルのゴールに先制点を刻んだ。まさに、ネットを切り裂くかのようなゴールだった。はじける笑顔。玉田はもちろん、ピッチではいつも修行僧のような形相でいる中田さえ頬を緩めていた。
だが、それが祭りの終焉であった。
4対1の大差でブラジルに敗れた日本は、このW杯で1回も勝てぬまま予選リーグで散った。精神力、体力、技術力、監督……早くもいろいろな声が国内を駆け巡っている。4年前の大会で16強入りしたため、今回のW杯にかかる期待は大きかった。予選リーグは突破できると。
歯車が狂ったのは、初戦の対オーストラリアだと言われる。ジーコ監督も認めている。終盤3失点の逆転負け。ここから、精神的リズムが乱れた。
クロアチアと必死の引き分け、そして、大敗のブラジル戦。
「これが実力」というのは、選手ならずとも痛感する。3月の第1回WBC(ワールドベースボールクラシック)で優勝した野球に比べ、日本サッカーの歴史は浅いと言わざるを得ない。にわかサッカーファンの一人として、祭りの終わりにあたり、過剰な期待を反省している。
七夕飾りが、商店街に登場した。七夕は毎年だが、W杯は4年後。日本サッカーにも、たっぷり反省する時間がある。そう、祭りの終わりは、再スタートの時でもある。(T)